台湾旅行記 4日目

1-街中台湾での3日は早々と過ぎていった。4日目の朝は、ゆっくり過ごして送迎バスを待つ。

やってきたのはバンで、若い女の子の2人組と、若い男の子の2人組がすでに乗っていた。私はうしろの席だったので、助手席のガイドさんと話をするのには少し距離があって、彼女が送ってくる視線に時々目を合わせて微笑むくらいだったけれど、とても感じのいい日本語が流暢なガイドさんだった。

学生のようにも見える男の子のひとりが、あれやこれやと台湾について質問を投げかけ、ガイドさんがそれに答えるというやりとりが道中ずっと続いていて、その話を聞いているのは面白かった。ただ一つ鼻につくのが、その男の子がやたらと声高にボケたりツッコんだりというのをすることだった。うがった見方かもしれないが、「面白いオレ」(と多分彼自身は思っている)という自己顕示が声のボリュームに表れていた。といっても、若い女子2人は爆睡していたけど。勢いとスピード命みたいな彼のノリツッコミは、明らかに最近の若手のお笑いの影響を受けている気がした。窓に頭をもたせかけながら私は思う。でも今年のTHE MANZAIで優勝したのは、博多華丸・大吉だったんだよなあ。安定感があって面白かった。やっぱりさ、若さとか勢いだけじゃないわけよ。って、誰だよ、私。まあ、自分だって今思い出すと恥ずかしさでいたたまれなくなるような言動を数えきれないほどしてきたわけで、それを思い出させられるようで心地悪かったのかもしれない。

「台湾の人は親日家ですよね」という男の子の質問に、ガイドさんは「日本人のことは好きだけど、台湾の人はよそから来た人を地球人かどうかっていうぐらいのおおざっぱなくくりでしか考えてないから」と答えた。台湾人の総意というには大胆な見方だが、面白いと思った。

普段から私は、誰もが際限ない境界線の狭間に身を置いていると思っている。この小さなバンの中でも、私は若者と自分たちの中に境界線を見てとり、その一方で台湾人のガイドさんと運転手さんとの間にも見えない境界線が存在するのを感じる。男と女、出身地、血液型、ありとあらゆる違いの間に境界線は存在しうる。そしてまた境界線は、その都度表れたり、消えたりする。場合によっては、引いたり、消したり、と言い換えることもできる。

でも、たまに思うのだ。『インデペンデンス・デイ』のように、あるとき宇宙からの侵略者がやってきたら、性別、人種、宗教、民族、国籍、それらが異なる者同士の間にある境界線が消え去り、私たちは地球人としてひとつになることができるのかもしれない。

「明日どうなるかなんて、分からないでしょう?だから台湾人は今のことだけを考えるの。今が楽しいかどうか。先のことは考えても仕方ない」ともガイドさんは言った。その言葉に男の子たちは色めき立った。刹那的にも聞こえるけれども、台湾を満喫して帰国の途に着く私たちに魅力的なフレーズではあった。そういえば誰かが、仕事がえりで地下鉄から降りてくる台北の人たちが皆、笑顔で驚いた、東京では考えられないことだからと言っていた。

空港について、キャリーケースを引いて航空会社のカウンターデスクへ向かいながら、隣を歩くガイドさんに、台湾の人はあまり飲まないですよね、と聞くと、晩酌する習慣がないのだと答えが返ってきた。でも、とガイドさんは笑いながら続けた。「冠婚葬祭のときには、夜通し、死ぬまで飲みますよ。台湾の人はお酒強いです」

台湾、なかなか奥が深そうだ。
私たちはチェックインを済ませると、「また来てくださいね」と笑顔で手を振るガイドさんにさよならをした。

天気にも恵まれ、美味しいものづくしだった台湾。今回の食い倒れ旅のベスト3を発表しよう。第1位に輝くのは何と言っても『巧之味手工水餃』の水餃子。そして同率2位で、臭豆腐と『富覇王』の豚足である。スイーツは、パクチー入りのココナッツアイスクレープが美味しかった。

DSCF8782番外編でウーロン茶卵もご紹介。ウーロン茶で煮た卵がファミリーマート(あちこちにある)などで売られているのだが、これがなかなかの美味。◯◯好きな私というフレーズを何度となく使っているが、私は煮卵・ゆで卵好きでもある。そう告白すると、6割ぐらいの確率で「板東英二みたいだね」と言われるのだが、反応に困る。

レシピを検索すると、調味料は様々だが、八角が必ず入る。早速、中国料理の食材店で八角を購入し、ウーロン茶の代わりに紅茶で煮卵を作ってみた。大量に作ったので、それを毎日食べることになり、そんなわけで、台湾気分はしばらく続いたのだった。

終わり。

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