もぐらのはなし

モグラ先輩近ごろ、モグラ先輩が話題らしい。彼は多摩動物園の「おしえて!モグラ先輩!」という掲示板のキャラクターなのだが、その毒舌ぶりがウケている。「モグラって日に当たると死んじゃうって本当?」と問われれば、「死ぬわけねーだろ!!」とツッコみ、もぐらの生態について分かりやすく解説を加える。ツンデレである。やるなあ、モグラ先輩。

そう、なかなかやるんである、もぐらは。

小学生の頃、家のそばで小さなもぐらが死んでいるのを見つけた。当時の私の手のひらにも乗るくらいの大きさだったと思う。もぐらを見るのは初めてだったけれど、図鑑や本の挿絵で見ている姿そのものだったから、「あ、もぐらだ!」とすぐに分かった。そして、その珍しさに興奮した私は、家に走り戻って、死んでいるもぐらを見つけたことを母に報告した。すると母が驚くようなことを言う。

「もぐらは死んだふりをするから、本当は生きているかもしれないよ」

mogura_big急いでもぐらのところに戻ってみると、こつ然とその姿は消えていた。まんまと一杯くわされたみたいだった。私はあんぐりと口を開けて、その小さな生き物に感心したのを覚えている。

あるとき、誰かが「もぐらは不安で死んでしまうのだ」と教えてくれた。もぐらは土に触れていないと、不安になって死んでしまうらしかった。それを聞いて以来、私はもぐらにシンパシーを感じている。なにせ私は生まれつきの心配性なのだ。無駄にいろんなことが心配になって不安に駆られ、しょっちゅうドキドキしている。私がもぐらだったら、もう死んでいるかもしれないとさえ思うほどだ。

おとなになるといい加減さが増すせいかだいぶましになったが、子どもの頃は、おねしょが一生治らなかったらどうしようとか、明日死んじゃったらどうしようとか、戦争が起こったらどうしようとか、 宇宙人に遭遇してさらわれたらどうしようとか、とにかくいろんなことが心配になって、妄想が大きく膨らみ、不安にさいなまれるという具合で、生きづらくてしかたなかった。あらゆることの結果を懸念するような子どもだったのだ。そんなあるとき、『まんが ことわざ辞典』で「案ずるより産むが易し」ということわざを知って、子ども心にも救われる思いがした。おとなになった今も励まされる言葉である。もぐらにも、このことわざを教えてやりたい。

もぐらトリビアをもう1つ。野生のもぐらは、12時間以上何も食べないでいると空腹から死んでしまうらしい。やはり、空腹に弱い私はもぐらにシンパシーを禁じ得ない。

「もぐらは、腹ペコだと死んじゃうんだよっ!」と世の中に向かって叫びたい気分である。うさぎはさびしくても死なないらしいが、不安と腹ペコで死ぬなんて、もぐらはなんと繊細でおセンチな生き物であることか。もっと、日の目をみてもいいんじゃないかと思う。

あれ、でももぐらって、日に当たったら死んじゃうんじゃ……。

死ぬわけねーだろ!! by モグラ先輩

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