8月2014

うんちくんキャンディと二丁目の夜

 先日、前々回に書いたスペイン人のゲイカップルJとPと友人たちを交えて食事をし、お決まりの新宿二丁目に飲みに行った。彼らは短い滞在期間の中で連日通っているらしく今回一緒に訪れたバーの顔なじみみたいになっている。

4903325114536 テラスで飲んでいると、ちょっと待っててとJが席をたち、しばらくすると近くのコンビニから大量に買って来た「うんちくんキャンディ」をプレゼントしてくれた。大はしゃぎで “It tastes like shit.”(直訳で、クソみたいな味がするよ。めっちゃまずいという意味のスラング)とか言っている。親戚のちびっ子が「うんこ!」と言うだけで、体をよじって半日も笑い転げていたのを思い出し、40を過ぎたおっさんなのにバカだなあと笑えた。

 おそらく、このうんちくんキャンディが二丁目のコンビニにラインナップされているということはJのような客がたくさんいるということなのだろう。うんちくん人気、恐るべしである。巻きぐその起源については、とりいかずよしの「トイレット博士」だとか、楳図かずおの「まことちゃん」だとか、もっと古いとかいろいろ言われている。でも、このキャンディのパッケージのうんちくんに目と口がついているように、うんちをかわいらしく擬人化し、ここまで市民権を与えたのはやはり「Dr.スランプ」なのではないかと思うわけで、その功績のスゴさに鳥山明に畏敬の念を抱かずにはいられない。ついでに、このゆるキャラ全盛の時代において考えてみても、頭が尻というニコチャン大王のデザインは斬新だったなあとか思ったりもして。 

 さて、JとPと話していたとき、何の流れだったか、Pが、「僕にとってJはダディみたいなもんなんだ」と私に言った。Pもおっさんなんだけれども。その瞬間、表情をこわばらせたJはちょっと怖い顔をして、「今、なんて言った?」とPに詰め寄った。私だって恋人に「こいつは俺の母親みたいなもんだから」なんて言われたらやっぱり嫌だし、それはいただけないわ、と私はJの肩を持ち、Jはすぐに機嫌を直して私たちはお酒を飲んだ。Pがちょっとバツが悪そうな顔をしてスペイン語で言い訳をしていて、何を言っているのかはまったく分からなかったが、かわいらしかった。恋人同士なんだねえ、この人たちは、と思った。古いし通じないだろうから口には出さなかったが、心のなかで「ヒューヒューだよっ」とツっコんでおいた。

 069882二丁目には様々な人が行き交う。サラリーマンも多いし、外国人や旅行者も多い。もちろんストレートの人たちもいるが、当然ゲイの割合が圧倒的に多い訳で、彼らはここにくればきっと居心地のよさを感じることができるんだろう。私にとっては、求められていない感が半端ない。でも、完全アウェー的な居心地の悪さはない。たとえば、若者の合コン的なところになぜか紛れ込んでしまって、あたし求められてないわと改めて実感するときみたいには傷つくこともない。とは言え、素っ気ないと思ったゲイバーのオネエさんが、イケメンに満面の笑顔を振りまいてるのを見ると、あまりの違いに笑ってしまうほどだ。そりゃそうだ、さほど希少価値もないアラフォーの独身女に興味なんかあるわけもない。

 そんななか、ある思いがわきあがる。じゃあ、どうしたら他人に興味を持たせることができるんだろう?いや、別にゲイバーのオネエさん対象という意味ではない。総じてってことである。ニコチャン大王みたいにお尻が頭についてたら興味を持つ?いやいや、そういう外的要因じゃないだろう。私という人間に興味を持ってもらわなければ意味がない。それには自分を表現することよ、と言われたけれども。表現するって、そもそも私ってどういう人間なんだろう?・・・なんて思いはめぐり、うんちくんキャンディを横目に考えてしまう夏の夜であった。

 

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思い出横丁で飲む

思い出横丁文字通りのアフター5。ここ数日ストレスMAXだった私。

時間も早いし、これは飲まない手はない!

そうだ、行きたい店があったと思いついて、新宿の思い出横丁へ向かう。

お目当ての店はうなぎの串焼き屋「カブト」。

まだ時間が早かったからか、運良く席が空いていた。

何年も前に一度行ったことがあるのだが、通りかかるたびに満席状態で、なかなか再訪がかなわなかったのだ。

カブト看板「東京だったらカブトよ」と、この店を教えてくれたのは、昔、山形で訪れたレストランを営むご夫妻だ。 

パワフルな奥さんが話してくれた寡黙なご主人との馴れ初めのエピソードが印象に残っている。

まだ「婚活」なんて言葉もなかった頃の話。

まだ若かりし頃の奥さんは、ひとり旅で訪れた山形がとても気に入った。

東京で生まれ育った彼女の憧れは、田舎に嫁ぐことだった。

そこで、村役場に地元の男性を紹介してくれとかけあった。

写真 4

その結果、数人の男性を紹介してもらいお見合いなるものをした。

しかしどの人も、喫茶店とかオシャレなところへ連れて行きたがる。

田舎に憧れている奥さんは、それにがっかりして、少しあきらめモードになった。

そんなところに登場したのが旦那さんだった。

初めて会った時、旦那さんは「どこへ連れて行かれるんだろう」と奥さんが不安になるほどに車を山へ山へと走らせた。

そして、ようやくたどり着いた緑いっぱいの景色を彼女に見せて、「田舎にも、いいところがあるだろう?」と言った。

その言葉に、奥さんは「この人だ!」と思ったのだった。

奥さんは、旦那さんを東京へ帰るときに一緒に連れていき、ご両親に紹介した。はやっ。

写真 2

年月を感じさせる油のランプシェード

写真 1

グラスがいい味出してる。

学者肌のお父さんが「君はどんな本を読むのかね」と若かりし頃の旦那さんに尋ねたところ、旦那さんは「ジャンプとかマガジンとか」と答えたらしい。

お父さんは、少しの間のあと「僕は洋書は読まないんだが」と言ったそうだ。

まったく会話は噛み合わなかったが、それでもお父さんは旦那さんの人柄を認めて、結婚を承諾してくれたのだった。

きっと、奥さんみたいに自分が何を望んでいるか分かっている人、というのはそれをちゃんと手に入れることができるんだろうな。

私に分かっているのは、飲みながらうなぎが食べたいぜ、ということだけである。

瓶ビールととともに出された店名入りのグラスがいい味を出している。

キモ

えり焼き。2種類の焼き方が楽しめる。


さて、一通りで注文。

えり焼き、ひれ焼き、きも焼き、一口蒲焼きを次から次と出してくれる。

この日、れば焼きが売り切れなのは残念だったが、久々に食べても旨かった。

見た目よりも味がそんなに濃くなくて、すんなり食べられる。

満足して、店を後にする。

今度は、れば焼きを目指して昼間に来店せねば!

思い出横丁は外国人観光客にも人気のようだ。

バックパックを背負った外国人が行き交っている。

さて、次はどこにいこうかとキョロキョロしていると、気になる店があった。

とんそく

ゼンマイ刺しその名も豚足料理「らくがき」。

何を隠そう、豚足は私の大好物なのだ。

ということで二軒目はここに決定。

焼酎ハイボールのあてに、豚足とコブクロ刺のハーフ&ハーフとセンマイ刺を頼む。

豚足はコラーゲンたっぷり。


らくがきコブクロはコリコリ。

センマイ刺も新鮮。


めっちゃおいしい。

おいしいブー。

私ごのみのメニューを置いてあるところがとてもいい。

ひとり飲みに最適な店だ。

この店も再訪することまちがいなし。 

帰路につくころには、すっかりストレスも吹き飛んでいたのでした。


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飲みながらスペイン人と恋愛を語る夜

 vivo週末、ワインバルで、友人と彼女の友人であるスペイン人と落ち合った。スペイン人の彼は中国で買ったというド派手なTシャツを着ていてウケた。某洗剤のパッケージがモチーフというよりはそのまま転写されていて、使用方法などが妙な日本語で書かれている。外国人にとっては、日本語が書いてあるというだけでイケているように見えるのだろう。ヘンテコTシャツだが、それを着こなしてる感がスゴい。

 昔、ダブリンの雑踏のなか、もやしっこみたいなメガネをかけた青年が、 I’m huge in Japanという英語の下にどでかく「巨根」と書かれた鮮やかなオレンジ色のTシャツを着ているのを見て、ドン引きしたことがある。I’m huge in Japan.は、「私は日本で大人気です」という意味合いにもなるが、この場合「私は日本ではデカいです」という意味になるわけだ。う〜ん、言葉って面白いとか思う前に、とにかく引いた。マッチョなおじさんが着ているならまだしも、Tシャツの文言と少年の風貌があまりにもミスマッチで笑えなかったのだ。余計なお世話ながら、あの青年は巨根の意味を知っているのだろうか、教えてあげたほうがいいんじゃないかと悩んだが、説明したところで日本人がいきなり下ネタを振ってきたと思われるかもしれないし、もちろん知ってるよと言われたらリアクションに困るので、結局やめた。って話がそれちゃった。

 さて、お酒を飲みながら私たちはいろいろな話をした。彼の恋愛の話もした。ゲイである彼には長く付き合っているパートナーがいて一緒に来日しているが、そのパートナーは3ヶ月ほど日本に残って仕事をすることになっていた。場合によっては、それ以上に長くなるかもしれない。離れてしまうのは不安じゃない?と聞いてみる。現に彼のパートナーもそのバーに来る約束だったのに、日本で知り合ったゲイの友人と出かけてしまって現れなかった。自由だな。彼は、「寂しくなると思う。でも、彼にとって今回のことはいい機会だと思うんだ」と言った。彼自身も外国で仕事をするのが夢だったらしい。かつて、そういう機会が訪れたとき、外国に行ってしまったら当時の恋人と別れることになるだろうと思って、結局行かなかったのだそうだ。そしてそのことを悔やんでいる。だから、誰かにチャンスが訪れたら、その機会を邪魔するようなことはしたくないと言う。彼はヘンテコTシャツを着てはいても、落ち着いたおとなで、とても穏やかだった。

「あなたは、彼を信じる自分を信じているのね」と私は言った。
「そうだね、自分を信じていなかったら、彼のことも信じられないし、とても不安になるだろうね」と彼は答えた。
 結局、恋愛における気持ちのあり方は、男と女でも、男と男でも、きっと女と女であっても変わらないのだろう。

 その人のためにスペインに残ったのに、かつての恋人とは別れてしまったことについて、”He was a bad man.”(彼は悪い男だった)と彼は首を振りながら二度同じセリフを言い、ビールを飲んだ。それは残念だったけど、でもわかるわあ、悪い男って魅力的なのよねえと、えせオネエみたいな感じで私はうなずく。コイバナは古今東西、鉄板ネタだ。

 でも、まったり飲めたのはひとときだけで、その後、スペイン人宴会の怒濤の渦に巻き込まれることになるのだった。

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