7月2014

メダカは大きくなったら何になる?

 近所の生花店の前を通りかかったら、大きなビニール鉢に入ったハスが売られていた。2つ蕾がついている。ハスは好きな花なので、こんな風に栽培できるんだと思うとなんだか新鮮な感じがして、衝動買いしてしまった。水を抜いてビニール袋に入れてもらい、よいしょよいしょと家のベランダまで運んできて水を注ぎ入れると、即席の池ができた。そして、思いついてペットショップでメダカを5匹買ってきてその中に入れた。 

 何年か前にも、メダカを飼ったことがある。巣鴨の地蔵通りをぶらぶらしていたら、金魚を売る露店が出ていた。そのとき、私はちょっとさみしかったような気がする。それで金魚でも飼おうかと思ったのだけれど、メダカは強いから金魚よりメダカにしたらいいよ、と金魚を売るおじさんにアドバイスされ、メダカを10匹買ったのだった。毎日エサをやって、水もこまめに換えていたし、しばらくはメダカも元気だったのだけれど、真夏の暑さがいけなかったようだ。夜に帰宅してのぞいてみると、朝は元気に泳いでいたメダカが、シラスのような目をして浮いているのだった。そうして1匹、また1匹とメダカはいなくなり、結局全滅してしまった。ああ、私はメダカも飼えない女なんだわ、と悲しくなってこれまで自粛していたのだった。 

 今のところ、メダカは元気に泳いでいる。エサをやろうとハスの鉢をのぞくたび、シラスのように浮いていないかちょっとドキドキするけど。

 メダカを飼いはじめたとある人に話したら、「へえ、メダカって大きくなったら何になるの?」とまじめな顔で聞かれた。「・・・メダカはメダカだよ」と笑いをこらえながら答えつつ、そんな歌あったねえ、わらべが歌ってたねえと思う。

illust34♪めだかの兄妹が 川の中 大きくなったら 何になる?
大きくなったら コイになる 大きくなったら くじらに 

夢がある。なんだかメルヘン。でも、最後はこう締めくくられる。

♪だけど 大きくなっても めだかはめだか スイスイ

夢はもろくも崩れ去り、現実がつきつけられる。一瞬切ない気持ちになるけど、でも納得。そうそう、メダカはコイでもくじらでもなく、メダカなのだ。それを知ることって大事。メダカにはメダカのよさがあるんだから。スイスイって泳いでるんだからさ。メダカ上等じゃん、と思う。

引用元:「めだかの兄妹」(1982年) 作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし

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ある日の出来事

今年の夏は雨がよく降る。

田舎にある私の実家では、雨が降ると窓にたくさんのアマガエルがはりつく。鮮やかな緑色をしたアマガエルはかわいらしい。

まだ実家に住んでいた頃のこと。雨が降った翌朝、会社へ行く用意をしていると、部屋のなかでアマガエルを見つけた。じっとして動かない。死んでいるのかしらと思って近づいてみると、顔はピクピク動くものの、からだの半分が乾いていて麻痺して動けなくなっているのだった。家を出なければならない時間が迫っていた。でもこのまま放っておけばカエルは死んでしまうだろう。結局放っておくことができず、「カエルの王子様だったりして、んなわけないか」なんて思いながらそのカエルを手のひらにのせ、家の前にある田んぼ脇の小川へ急いだ。木の板が生い茂る草にひっかかって流されずに浮かんでいたので、そこへカエルをそっとおいてやった。ちょうどいい具合にそのカエルのからだが水につかった。けれどもカエルは相変わらずじっとして動かない。動けないようだった。「がんばれ、がんばれ」と声をかけてみたけれど、動く力がないみたいだった。もう本当に家を出なければならない時間になった。これ以上遅くなると会社に遅刻してしまう。もう、だめかもしれない、と思いながら、やむなく私はそこを離れた。

028731車を飛ばして、仕事には無事間に合った。そして昼頃、ケータイが鳴った。なんとあのカエルが元気になって動き出した、という家族からの知らせだった。ああ、よかったと思った。1匹の小さなカエルの命が救われたことに、なんだかうれしくなった。

その日の夜、雨が降った。帰り道、田んぼで囲まれた道に差しかかった。車のライトが、雨のなか、道路へあがってきてぴょんぴょん飛び回っている無数のカエルを照らした。スピードを落として、そろそろと前に進んだ。

しばらくして、パーンと音がした。カエルが弾ける音だった。ブレーキを踏み、私はハンドルを握ったままうなだれた。ああっ、と声が漏れた。

日々過ごしていると、ときにやるせないことが起こる。その日、私は1匹のカエルの命を救い、その一方で、図らずも1匹のカエルの命を奪ってしまったのだった。

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アメリカン・マッシュルーム

 このところ前髪がうっとうしく仕方がない。だいぶ髪がのびたので、知り合いになった美容師さんにおまかせでカットしてもらったのだが、私たちの世代だと麻丘めぐみを彷彿とさせる姫カットらしきものが流行っているとかで、ずっとのばしていた前髪を切られてしまった。これが中途半端な長さで、髪をしばるとずりおちてくる。ああ、おまかせにした自分が悔やまれる。といっても、あのときほどではないけど。

067283 大学時代に、アメリカ西海岸のリバーサイドという街で3週間ほどホームステイをしたことがある。車がないと何もできないので、私はいつもホストファミリーと行動をともにしていた。ある日、ホストファミリーの小学生の息子が髪を切りにいくというので、ついていくことにした。そして、好奇心にかられ、何事も経験だとアメリカのヘアサロン体験をすることにした。当時、私は20歳ぐらいだったが、童顔で歳より幼く見られることが多かった。服装といえばラフにTシャツにチノパンといった具合で、今で言う女子力といったものはほぼ持ち合わせていなかった。ただでさえ日本人は若く見られるのにそんなこともあって、おばさんと呼んでしまいそうな年齢に見える美容師さんは、私が年齢をつげたとき、「オーマイガー!」と驚いた。そして結局、私がうら若きオトメであるという認識などもてなかったんだと思う。

 おまかせでお願いすると、「今のアメリカのヤングたちに流行っているのはこれよ」とおばさんは自信ありげに言ったが、出来上がったのはトップがマッシュルームカットみたいな感じのツーブロックだった。まるで昭和の小学生である。隣を見ると、ホストファミリーの小学生の息子も同じ髪型になっていた。確かにヤングだけどって、おい!と思ったけれども、あとの祭り。後悔先に立たずとはこのことである。

 アイスバーそして、私は髪形にとどまらぬ変貌をとげた。ホストマザーはサイズがとても大きな人で、アイスクリームが大好物だった。彼女の家の冷蔵庫にはハーゲンダッツのアイスバーがぎっしり詰め込まれていた。これをソファーでテレビをみながら食べるのが彼女の楽しみで、私も毎日のようにつきあった。1本食べ終わると、「もうひとつどう?」と誘いがくる。調子に乗って食べ続けていたが、ホームステイも2週間を過ぎた頃、鏡に映った自分の顔がふくらんだように見えた。まずいぞ、さすがに太ったのかも、と焦って、ホストマザーのところに飛んでいき、「ねえ、私太った?」と聞くと、彼女はきっぱり「ノー!」と否定する。何度聞いても答えは同じなので、気のせいかも、いや、気のせいということにしよう。むくんでるだけかもしれないし、と自分に言い聞かせ、私はアイスバーを食べ続けた。ハーゲンダッツはほんとうにおいしかった。 

 帰国すると、親も親戚も、友だちも、私を見た瞬間、目を見開いてぎょっとしたような顔をした。そりゃあそうだ。わずか3週間で見るからに太り、へんな髪形になって帰ってきたんだから。アメリカ気分が抜けてそのことを自覚すると、とても恥ずかしくなった。そこからしばらくの間、帽子はマストアイテムになった。

 昔のことだから、今では笑える思い出だ。でも、ここまで書いてきたら、甘い誘惑に弱いところと、好奇心にかられて行き当たりばったりで後悔するパターンが今でも変わっていないことに気づき、朝からちょっとへこむ。

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