2月2014

長ぐつをはいた父

 雨が大嫌いな私は、少しでも雨の日の気分を変えようと去年の梅雨に長靴を買った。 定番のHunterのやつ。でも、ほとんど出番がないまま玄関に放置していたので、買ったことをちょっぴり後悔し始めていた。01

 ところが、ここのところの大雪や大雨の中、長靴が大活躍した。降り積もった雪が雨でみぞれ状になって、水たまりのようにぐしゃぐしゃなところでもへっちゃらである。むしろ、そんなところに、いい年だというのにわざと足を突っ込んでみる私。こういう子どもっぽいところは、いやになるくらい父に似ている。

 長靴をはいて会社へ向かう途中、東京で天気が大荒れというニュースを見て心配した母から電話がかかってきた。福島でも大雪が降り、実家の方では腰ぐらいまで降り積もったらしい。「お父さん、あんたに買ってもらった長靴はいて、雪かきしているわよ」という母の言葉に、正月の出来事を思い出した。

 私はファッションセンターしまむらが大好きで、実家に帰るたびに立ち寄るのだが、この正月に帰省した際にも、閉店まぎわのしまむらに駆け込んだ。手頃な上着をみつくろいレジに持っていったところで、一緒だった父が、「これ買って」とちょっとポップな感じの1足の長靴を持って来た。私もかつてよく使っていた、会計が始まったところでの「これ買って」作戦である。子どもか。

 とはいえ、まあ父に何かをしてあげられるようなことも普段ないので、快く買ってあげたのだが、あの長靴、どんなだったっけと思い出してみれば、レディースだったような・・・。

 小さな水玉柄の長靴を履いて、70を超えた父が雪かきにせいをだしているところを想像したら、笑えてきた。

 長靴のおかげで、悪天候のなかでも、ちょっとテンションが上がった朝だった。

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満月の憂うつ

満月東京を襲った大雪、そして雨。お客様対応に追われて、てんてこ舞いだった仕事を終え、何とか動いている電車を乗りついで最寄り駅についた時には、もうすっかり夜になっていた。空を見上げると、うっすらとかかった雲の向こうに、まん丸い月が浮かんでいた。自らが発する光が雲に反射して、まるでスポットライトを浴びているみたいに見えた。あんまりにもきれいだったので、立ち止まって、しばらく見入ってしまった。

そうか、今日は満月だった。

私は、満月が苦手である。嫌いなのではない。むしろ、満月は大好きだ。ただ、体が反応してしまうのだ。体に毛が生えて…変身というのではない。どうも、調子が悪くなる。

どうしようもなくイライラしたり。 ただただ、体がだるくて重かったり。 うつうつとしたネガティブ大魔王と化したり。

とにかく、何かが変、という状態になる。でも、どうしてなのか分からないと途方に暮れて、夜空を見上げると、月が丸い。

そんなことが幾度となくあり、やっと自分が満月に不調に陥ることが分かった。厳密な自分リサーチの結果に基づいて正確に言えば、それは満月の2日前である。そういえば、おとといも、友達から「どうしたの、今日、すごいネガティブだけど!?」と呆れられたっけ。あはは。

月の満ち欠けや潮の満ち引きといった自然のリズムが人間に影響を与えているということは、よく言われる。満月の夜は、事故や事件も多発するらしいし、その一方で赤ちゃんもたくさん生まれてくるらしい。

私が月の動きの影響を実感するようになったのは、ここ3年くらいだ。満月の前は、特に2日前は、何かが変、なのであるが、軽いときもあれば、重いときもあり、その違いを生む原因が何なのかは分からない。○○座の満月とか、星の動きなんかも関係あるのだろうか。

先月などはひどかった。突然、ひどく泣きたいような、悲しい気持ちになった。ああ、なんて孤独なんだろう、私。この先どうやって生きていったらいいの…オヨヨヨ…、みたいな。

その一方、頭の中で、無性に悲しいけど、原因は何だ?悲しくなるような出来事なんてあったっけ?と記憶をたどってみたが何もない。心の中に、根っこのない悲しみの木が、にょっきりと生えているかのような感じだった。

はっ、と思いつき、しばらく閉じっ放しだった手帳を開いてみると、やっぱり2日後は満月だった。

くそっ、満月め。 満月はオオカミ男だけじゃなく、私をも苦しめる。 んもう、どうしたらいいんだろう。

でも、私のことなんておかまいなしに、今宵もまた、満月はにくいくらいに美しく輝いているのである。

ウオ〜ン。

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202号室の怪

 5年ほど住んだ築40年ほどの昭和な雰囲気のコーポから、築浅の今のマンションに引っ越した。古い建物と比べると、どの部屋もスペックは上でよく見えたが、中でも今の部屋はひとめで気に入って入居を決めた。ワンルームで狭くはなってしまったけど。ちょうどその頃、人生の転機なるものも迎えていて、新しい部屋で心機一転、頑張ろうと思っていた。

 そんなある日、お得な割引券につられて、とある整体院を訪れた。整体師は、使っているマシンやら施術やらについていろいろとうんちくをたれる人だった。スポーツ選手や有名女優が常連だそうで、そこで扱っている高価なパワーストーンも彼らに人気らしかった。確かに、超有名スポーツ選手がそこのパワーストーンのブレスレットをしていたのをテレビで見たことがあるから、嘘ではないのだろう。

 さて、この整体師、ちょっとした霊感なるものがあると言う。お客さんに「あなた、1ヶ月後に3人にプロポーズされるよ」と感じたままに伝えると、その時本人は信じなかったらしいのだが、1ヶ月後、言われたとおりになって、結婚が決まったと電話があったそうだ。そこで、「私は結婚どうですかね?」と聞いたところ、「正直に言っていい?しばらくかかるよ」と答えが返ってきてがっかりした。まあ、今のところ当たってるけど。

 書き終えたアンケートを渡すと、整体師は私の住所を見るなり「あなた、この部屋よくないなあ。いろいろうまくいかないでしょ?いやあ、この部屋はやめたほうがいい。今すぐ引っ越したほうがいいよ」と言い出した。

 究極的に不幸とはいえないが、いろいろうまくいっていない感はあった。突然やってきた転機のなかで、状況に気持ちがついていかず、閉塞感を抱いていたことは否めない。それは部屋のせいだったの?部屋さえ変えればうまくいくの?いや、でも引っ越したばかりで、また引っ越す余裕なんてない……と襲って来た不安のなかでぐるぐる考え、出口が見つからないまま、とにかく、なぜ私の部屋が悪いのか聞いてみた。

 末尾が02号室だから、と言うのである。

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 その整体師いわく、末尾に02がつく部屋はとにかく不運を呼ぶ。知り合いで、02号室に住み続けた友人がゆきだるま式に不幸になった。恋愛も結婚もその部屋にいたらうまくいかない。表沙汰になっていないだけで、いろんな不幸が02号室に住む人々には襲ってくるのだと彼は持論を展開した。そこまでは、まだ疑いの気持ちが強かったのだが、私をびびらせたのは、次のひと言だった。

「何より怖いのはさあ、一度02号室に住んじゃうと、そのスパイラルから抜けられなくなるんだよねえ」

 昭和なコーポの部屋も202号室だった。思い返せば、その前に住んでいた部屋も202号室、大学時代にひとり暮らしをした部屋も202号室だったではないか。こ、これはスパイラルに入っちゃってるってことなんだろうか。だから、いまだに嫁にもいかず?

 でも現実的に考えて引っ越すなんて無理だ。そのことを伝えると、整体師は困ったなあという顔をしたあと、やむを得まいという感じでアドバイスをくれた。確か、ある呪文とともに風呂に入った時に全身を粗塩で清めろというものだったように記憶している。とにかくそれは悪霊祓いチックなおどろおどろしい対処法だったので、まるで一大事のような気分になって、ますますへこんだ。

 体のメンテに行ったのに、メンタルにダメージを抱えてマンションへ戻ると、郵便受けに前の住人あてのダイレクトメールが入っていた。苗字の異なる男性と女性それぞれへの郵便がたまに届くことがあった。築年数から考えると、私の前に住んでいたのは、ひとり、もしくは一組だろう。とすると、彼らは同棲していたカップルなのか? もしや破局して引っ越し? 02号室のせいで?ネガティブな妄想が膨らんでいく。

 思いあまって、私は信頼のおける2人のいわゆる“視える”方々に意見を求めた。病気だけじゃなく、こういうことにもセカンドオピニオンをもらうに限る。

 さて、私の切実なるメールへの返信は、どちらも、気にしなくていいと思う、という拍子抜けするほどあっさりしたものだった。気の持ちよう、ということである。おかげで、少し落ち着いた私は、とにかく気にしないようにしようと努め、日常を送っていた。

 そんなある日のこと、転職したばかりの職場で、勤務先を言い渡された。小さなオフィスだった。このオフィスについて、マネージャーが感慨深そうに教えてくれた。

「小さなオフィスだけど、この会社はすべてあそこから始まったのよ。あのマンションの202号室から」

 私が、ひぃ〜と心の中で叫び、卒倒しそうになったことは言うまでもない。

 あれから数年、私は今も同じ部屋に住んでいる。結構、気に入っているのだ。まあ、考えてみれば、ネタも手に入れたわけだし、私の人生、そんなに悪くないしね。

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